ベストセラーだがようやく読んでみたりする。
小説でもなくただ思想論なのに引き込まれていくようにぐいぐい読み進める。
大学時代にキルケゴールの本を背伸びして買ったけど完読できなかった苦い思い出が脳裏をよぎる。
そうそうそう、と思うところもあれば、んーそれはというところもある。
でもそれが当たり前じゃないかな。
まったく100%同意できたら気持ち悪い。
中でも一番同意したのは101ページからの「もののあわれ」の節。
虫の(あるいは鳥の)鳴き声に季節、情緒を感じる日本人に対し欧米にとっては(鳥に関しては知らぬが)ただの騒音に聞こえるということ。
今から10年以上も前になるけど前の職場でアメリカに支社があったので現地の人とのFAXのやりとりの中で季節的なあいさつ文として「虫の鳴き声を聞くと秋が来たと感じます」みたいなことを書いたら、「日本人ってそう思うのですか、どちらかといえばうるさいですが」みたいな返事をもらってカルチャーショックを受けた。
それから数年後、真夏にデンマーク人のお供をしたら「この騒音なに?」みたいに聞くから「それはセミだ」と答えたというかセミって英語でなんていうか知らなかったのでa kind of insectsとかいったような気がする。
たしかに真夏のセミの朝っぱらから鳴くのは、(特にクーラーなしの深夜まで練れない生活をおくってた時代には)うるさいかもしれない。
でも日本に生まれたからにはそれも季節感のひとつとして許せてしまうのだ。
こういう感性を普通に与えられた自分たちは本当に幸せだと思う。